図書館で予約して、最寄りの公民館で受け取る。
なかなか便利なシステムである。ウフフ~
今回も公民館に本が届いた旨のメールが来たので、いそいそ取りに行ったら
「今日、同姓同名の人が来て間違えて渡してしまった(>_<)」と言われた。
そんなミラクルあんの?とビックリ。
っていうか、同姓同名さん、予約してない本持って帰っちゃダメじゃんww
あ、同姓同名さんは公民館から連絡受けて、翌日に返しに来て、本、無事に手元に来ました。
そんなミラクルな運命?を辿って私の手元に来たのが「流れる星は生きている」だ。
第二次大戦中、新京の観象台に勤める夫と、6歳の長男、3歳の次男、生後1ヶ月の
長女と暮らしていた著者。
敗戦直前、「今夜、1時半までに新京駅へ」という夫。
幼子3人抱え、この後どうなるのか、何もわからないまま、とるものとりあえず家を出る。
そしてここから著者にとって苛酷な旅が始まる・・・。
当初は夫に泣いてすがり、男たちに阻まれて水も汲めず、日々泣いて暮らす、そんな
なんとも頼りない母親だった。
正直、とてもとても子供3人抱えて日本に引き揚げられるとは思えない印象の女性だった。
しかし、夫が強制連行され、食料も配給ではなくなってくると、この人は俄然強くなった。
いや、強くなっていった。
同じ観象台の疎開団といっても、所持金、現在の仕事、家族状況によって差は出てくる。
小さな子供3人を抱え、給金の良いところでは働けるはずもない彼女の家族は
食べるものも、ほかの人に比べれば質素だ。
食べられない時に、同じ部屋で「食べられる人」がいるのは地獄だ。
外に働きに出ている者は当然のようにオンドルの入った温かい部屋を占領する。
藤原一家は寒い部屋で母が子供足を温めながら寝るのだ。
子供達は、温かい部屋で、自分たちよりも少しだけ多く、少しだけいいものを食べる人たちに
どれだけ羨望のまなざしを向けていたのだろう。。。
みんながみんな必死で生きている時代、正直、人の事なんて構っていられないというのが
伝わってくる。騙し、騙され、心を踏みにじられて、もがいてもがいてもがいて。。。
建前なんてない。良きも悪きも本音をさらけ出していかねば、生き抜くことなんて叶わないから。
藤原さんは3人の子供をなんとか祖国へ連れて帰るために、慣れない行商もした。
物乞いもした。市場のものを拾った。仲間を半分脅すようにしてお金を借りた。
また、人を騙すような行為までしてお金を工面した。
当初の儚い感じとはかけ離れた感じになっていく。
疎開団の仲間の中で、子供を虐待餓死させたり、上の子供2人を生かすため、下の乳児を
犠牲にする考え方の人がいる中で、なんとしても子供3人を生かし、全員揃って祖国へ
帰るのだ、という考えを崩さない藤原さんの強い信念、そこには子供への愛情と責任感を
強く感じる。頭が下がる。上げられやしない。。。
後半の引揚船に乗るまでの想像を絶する苛酷な苛酷な苛酷な道のり。
日本に着いても、身体もお金も安心できる状態ではない。
だからこそ。
やっとのことでご実家の家族に会えて、子供たちをきょうだいに託した時の、
「これでもういい。もう死んでもいいんだ」
「これ以上は生きられない」
という言葉の重み。
ここまで、どれだけ辛かったのかこの一言で伝わってくる。
読んでいる間中、苦しく、辛かった。
実話だけに辛い。そして、わたしだったら耐えられなかっただろうな、って思う。
生き抜く自信と、生き抜こうとする努力が足りないもの、私。
苦しいけれど、戦争故にこんな辛い思いをした人が何万人っているんだよね。
戦争って、戦い以外の部分でもこんなに苛酷で辛いものなんだよなぁ。
絶対繰り返しちゃダメだよ。
それと戦争関連の本を読むといつも思うんだけど、先人のご苦労があって、今の私達の
平和で快適な生活が成り立っているのよね。
先人のご苦労を忘れず、平和に感謝。食に住に困らない生活に感謝しないといかんよなぁ。
平和な今、多くの人に何が大切なのかを考えてほしいと思うので、苛酷な状況下の母の愛
と責任感の詰まったこの本を、たくさんの人に読んでもらいたいなぁと思います。